【2024.6月】LGBTQと司法書士について(松井しおり会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトーク(一部)を要約してご紹介しています。

2024年月6月27日㈭は、宮城県司法書士会の松井しおりさんが、「LGBTQと司法書士」についてお話をしてくださいました。


 前半のお話  法律や制度から漏れてしまうマイノリティの方々の権利を考えていきたい

ー 最初にLGBTってなに?という基本のところからお願いします

松井 はい。LGBTって聞いたことがある方も多いと思うんですけど、基礎の基礎から説明いたしますとLはレズビアン、Gはゲイ、Bはバイセクシュアルで、これは「どんな人を好きになるのか?」という性的志向についてです。

そしてTというのはトランスジェンダーと言いまして、生まれたときの「男の子、女の子」という性別が、段々成長していくに従って、自分に割り当てられた性別とは違う性別のように感じる、そういうことを指してトランスジェンダーと言ったりします。

そういった性のあり方が、多数派の人たちとは違う人たちをLGBT、あるいはLGBTQと呼ぶのですが、性的マイノリティというのも同じ意味です。

ー LGBTQの「Q」というのは?

松井 そうですよね、気になりますよね。

今言ったようにLGBTというのは色々なセクシュアリティの頭文字を取っているんですけど、そこで名前が付かなかったり、自分はどれにも当てはまらないんだけれども、典型的な多数派のあり方とは違うと感じるとか、感じるけどまだ決められないとか、迷っている、はっきりわからないといった状態をクエスチョニングと言ったりするんです。

あとは、そういった名前の付かない色んな有り方がありますよ?という意味を含めてクィア(QIA)という言葉があったりするんですが(注:本来は「変わっている」という意味ですが、ここでは肯定的に使われるようです)、そういうクエスチョニングとかクィアのQを取って最近はQを付けたり、またはQプラスというようにプラスを付けたりします。

ー 司法書士の皆さんはこの分野でどうサポートされているのですか?

松井 そうですね、色んな制度や法律から漏れてしまうマイノリティの方々がいて、この番組でも以前「障害者と司法書士」というテーマがあったと思うんですけど、そういった普通のしくみから漏れてしまう人々であっても、相談を必要とする方はいっぱいいらっしゃるので、そういう皆さんの権利も考えていきましょうというところで取り組んでいます。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:40前後からです。)

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半のお話  ご相談内容は同性パートナーの相続や当事者の方の名前変更手続きなど

司法書士の松井しおりさんと番組パーソナリティの笹崎久美子

北海道から沖縄まで日本の各地で毎年、LGPTQや支援者の皆さんが集うパレードイベントが様々な名称で開催されています。宮城県のイベントは「みやぎにじいろパレード」と呼ばれ、松井さんによれば、昨年は全国からたくさんの人が参加したとのこと。

イベント期間中には地元の司法書士会が相談ブースを設置するケースが多く、昨年は宮城県司法書士会でも宮城のイベントで相談ブースを出展したそうです。(※写真は宮城県司法書士会のFacebookより転載)

ー 実際にブースを設置してどういうご相談がありましたか?

松井 そうですね、本当に色々なんですけれど、たとえば同性のパートナーがいらっしゃる方がこれから二人で生きていくに当たって、老後のことであったり、どちらかが亡くなってしまったときの相続であったり。

あとは若い方でも「色々備える方法があるって聞いたんですけど、調べてみても難しくてわからなくて・・・」という方もいらっしゃいます。

そういう手続きや書類の作成は、確かにネットで調べれば出てきますが、「(結局)どれをやればいいの?」「最初はどうすればいいの?」と、不安に感じて相談に来られる方がたくさんいらっしゃいます。

ー たまたまイベントでブースを見かけたので相談に来る方も?

松井 そういう方もいらっしゃいますね。多分そこで初めて司法書士と呼ばれる人たちがいることを知ったという方もいるかもしれません(笑)

ー ここで存在感をアピールしたいところですよね

松井 (ご相談に関しては)相続とか遺言とか。それからパートナーシップ契約書作成についてであったり、(LGBTQとは関係なく)お父様お母様の相続のことについてのご相談もあります。

あとは、トランスジェンダーの方で戸籍の性別を変更するとか、元々の名前とご自身の性自認が違ってしまった時に、「しんどいので名前を変えてそちらの名前で生活したい」という方もいらっしゃいます。(※性適合手術で見た目は男性ですがお名前が女性など)

その場合は裁判所に申立書を出すという手続きになるんですね。調べてご自分でなさる方も多いのですが、やっぱり裁判所に出す書類を作るって人生でそんなにあることではないので、「全然わからない」「どこの裁判所に行けばわからない」という方もいらっしゃって、そういう書類の作成は司法書士の業務の分野でもあるので、手続きの方法などをお話させていただいたりしています。 (以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は16:20から。このお話の続きは20:20前後からです。 )

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本日の松井しおりさんのリクエスト曲

本日の松井しおりさんのリクエスト曲は 宇多田ヒカル『Wait & See~リスク~』でした。

松井さんのコメント 「中学生とか小学生の頃から聞いていて、ちょうどその多感な時期にヒッキーが出てきて、ああ、すごい!かっこいい!みたいな憧れ(の存在)でした。」


パーソナリティから 〜法的な「結婚」による権利が得られないことから共に考えたい~

当事者でもある松井さんは、学生や会社員時代からこの活動に取り組んでおり、現在、みやぎにじいろパレード実行委員会の共同代表も務めています。

松井さんが司法書士になってよかったと思うことは、法律や制度の知識が豊富になり、専門家として対応できる相談の幅が広がったこと。そしてそれによって、何が不当なことなのか?をより明確にわかるようになったことだそうです。

たとえば、相続や年金、各種の税的控除、別れた時の慰謝料など、法的な「結婚」には多くの権利や公的制度が認められていますが、同性カップルには(日本では)そもそも結婚という選択肢がありません。

夫婦と同じように何十年も一緒に暮らしていても、相手の財産を受け継ぐことができないなど「どうしてこんなに扱いが違うんだろう?」と権利の偏りを感じることが多い現状の中で、「どう対応していこうか?」ということを一緒に考えていくことはできるのではないかと話す松井さんの言葉が印象的でした。

*記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子(ワッツ・ビジョン


お問い合わせ先

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