【2024.9月】民事調停について~司法書士も簡易裁判所の訴訟代理権があります~(宮城克哉会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトーク(一部)を要約してご紹介しています。

2024年月9月26日㈭は、宮城県司法書士会の宮城克哉(みやぎ かつや)さんが、「民事調停について」というテーマでお話してくださいました。

※過去の「裁判・民事訴訟・民事調停」についての放送は「こちら」をご覧ください。


 前半のお話  訴訟と調停の違い

ー 司法書士の皆さんは民事調停も担当されるのですか?

宮城 はい、司法書士も簡易裁判所の訴訟代理権がありますので(請求金額が140万円以下)、簡易裁判所に係属される事件であれば、民事調停も、普通一般の民事訴訟も代理人として裁判所に出廷して代理行為をすることができます。

ー いま民事調停と民事訴訟という二つの言葉が出ましたが、調停と訴訟の違いは?

宮城 両方とも身近なトラブルを裁判所で解決するのは同じなのですが、制度として民事調停と訴訟は違うものになります。

訴訟というのは裁判所の裁判官が当事者双方の言い分を聞いて証拠を調べたうえで、法律に照らしてどちらの言い分が正しいかを決める、つまり勝ち負けを決めるという制度になります。

ー どちらが悪いかを決めるということですか?

宮城 悪いというよりはですね、証拠に基づけばどちらの言い分が正しいのか?ということです。

両方とも言いたいことはあるのでしょうけれど、証拠に基づけばどちらかの言っていることがより真実に近いのか?という意味合いで勝ち負けを判断しているということになります。

ー 調停は?

宮城 調停のほうはこれとはまったく違いまして、勝ち負けを決めるというよりは、裁判所をつかって紛争当事者双方がお互いに話し合って歩み寄り、つまりお互いに譲歩をしていただいて納得したうえで紛争を解決しましょうという手続きになります。

ー では誰かが裁く感じではないのですね?

宮城 はい、裁判所が間に入って仲介はいたしますが、あくまでも紛争当事者両方が合意し、納得していただいたうえで紛争を解決するということになりますので、裁判所が一方的に、どちらが勝ち、どちらが負け、という形での解決はしません。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:10前後からです。)

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※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半のお話  司法書士に依頼するメリットは?

ー 訴訟や調停というと弁護士さんのイメージがありますが、司法書士に依頼するメリットは?

宮城 はい、一番大きなメリットは報酬だと思います。費用のところですね、

例えば10万~20万円のお金を返してほしいので調停の申し立てや訴訟を起こして請求をしたいというときに、弁護士さんに依頼すると報酬がそれ以上になってしまう可能性があり、費用倒れになるというケースが圧倒的に多くなってしまうのではないかと思います。

弁護士さんに頼む場合は何百万円という単位のものでないと、なかなか受けてもらうのも難しいということがあると思います。

ー やっていただけるかどうかの問題もあるのですね?

宮城 やっていただけたとしても、戻ってきたお金が全部弁護士さんの費用で消えてしまうという可能性があるので、その場合は自分の手元に残るものがほとんどありません。

10万でも20万でも回収してほしいという方はいらっしゃいますので、司法書士であればそれぐらいの金額であっても対応可能です

さすがに「数万円の回収」の場合は、費用倒れになるので司法書士でもお断りすることがありますが、たとえば20万~30万円であれば受けてもらうことも可能だと思いますので、遠慮なくお近くの司法書士にご相談していただければと思います。

ー 宮城県司法書士会に電話してもご紹介していただけますよね?

宮城 そうですね、お知り合いに司法書士がいないという方や、いたとしても司法書士はやはり登記業務がメインにやっている事務所が多いので、裁判のほうの業務をやっている司法書士に心当たりがない方は、そのときは司法書士会のほうにご連絡くだされば紹介してくれると思います。 (以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は12:10から。このお話の続きは15:25前後からです。 )

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本日の宮城克哉さんのリクエスト曲

本日の宮城克哉さんのリクエスト曲は 小田和正『やさしい雨』でした。

宮城さんのコメント 「特に思い出があるわけではないのですが、私は小田和正さんの曲が何でもだいたい好きで、自分が落ち着きたいというときはよく聞きます。


パーソナリティから 〜1円でもいいので貸したお金を返してほしいときは~

宮城さんのお話では、合意が基本の民事調停とはいえ、事前の話し合いですでにこじれていることがほとんどで、貸したお金に関しても相手方が「借りたのではない、もらったものだ。貸したというなら借用書を見せてほしい」と主張することがあるそうです。

ところが10万円~20万円のお金を貸すときには借用書などをつくらずに貸すことも多く、証拠がないという現実があるとのこと。

その場合は、期限を延ばしたり分割払いにするなど条件を緩和し、あらためて支払いを約束してもらうなど、相手にもメリットのある提案をして、少しでも返していただけるような工夫をされるようです。

そういった柔軟な解決策を協議できることが、民事調停のよさかもしれませんね。

ちなみに裁判所が立ち会って交わす約束には強制力があり、守らなければ財産差し押さえもあり得るため、これで払わない人はいないのではないか?、という宮城さんのお話でした。

*記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子(ワッツ・ビジョン


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