【2025.5月】成年後見制度とは~どんなときに必要?準備する書類は?~(佐々木妙子会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトークの一部(要約)と概要をご紹介しています。

2025年月4月24日㈭は、宮城県司法書士会の佐々木妙子(ささき たえこ)さんが「成年後見制度」についてお話をしてくださいました。

※成年後見制度についての過去の記事はこちらをご覧ください。


 前半の始まりトーク  認知症や相続で困る前に知っておきたい成年後見制度とは?

ー 今日のテーマは成年後見制度についてですが、種類があるそうですね

佐々木 大きく分けると法定後見制度と任意後見制度があります。
どちらもご高齢になったり、判断能力が不十分な方々の権利の擁護や財産を守っていく、そしてその方々の意思決定を支援していくという制度になっています。

ー SNSで司法書士の友人が何かの手続きで銀行に行ったという投稿や、若い方の後見をしている場合は携帯電話の契約に付き添う等のお話も聞いたことがありますが、それはみな後見制度の活動ですか?

佐々木 はい。後見の中でも成年後見と未成年後見があり、支援の仕方違う場合があります。今回はそのうち成年後見についてお話をさせていただきます。

成年後見は先ほど申し上げたように、物忘れがひどくなった方や外出中に(目を離すと)行方不明になってしまうなど、判断能力が不十分な方々の権利や財産を守って、その方々の表に出せない意思決定というのを支援していく身近な仕組みです。

今はお子さんと別々に暮らしている方たちもおりますし、遠くにいらっしゃるご両親が心配で成年後見の申し立てをする場合もありますし、お一人で独居生活されている方が多いので消費者被害に遭われたり、そういったことから申し立てるようなことがあります。

私も成年後見人として職務を勤めさせていただいている高齢の方もおりますが、幼少の頃から知的障害で、ご両親も亡くなられて、もう70歳を超えるご高齢のためご兄弟もなかなか支援することができないということで、成年後見の申し立てをされました。

今は私自身が成年後見人としてその方の施設を伺ったり、財産管理や相続が起きたときの法的な手続きの支援を行ったりします。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:55前後からです。)

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半の始まりトーク  司法書士が解説~成年後見制度の申し立てに必要な書類は?~

司法書士の佐々木妙子さん(左)と番組パーソナリティの笹崎久美子

ー 先ほどの続きになりますが、成年後見制度の実際の進め方について教えてください

佐々木 はい、わかりました。後見の申し立てをする際には、ご本人様の住所地を管轄する家庭裁判所が基本になります。そこでまず一番最初に必要なのは、やはり診断書ということになると思います。

前半で成年後見制度の3つの類型について(補助・保佐・後見)お話をさせていただきましたが、お医者様に書いていただく診断書にチェックが付いてくるんです。それはそのご本人様の判断能力がどの程度のものなのかということを分類したもので、そこで保佐だったり、補助や後見という類型になります。

そしてご本人様の財産管理とか、それから、身上監護(しんじょうかんご/成年後見制度における成年被後見人の生活、療養、看護などに関する事務)に必要な契約関係とかもございますので、財産がわかる預貯金関係の書類も必要になります。

また成年後見の申立人は四親等内の親族に限られますので、その関係がわかるような戸籍謄本とか住民票とか、そういった一般的なものも必要になってきます。

ー 必要な書類がとてもたくさんあるんですね

佐々木 そうですね。申し立て人になられる方がご自身で書類を集めることもできますが、裁判所に提出する書類って、ちょっと難しかったり、時間がかかったり・・・

それからご自身の親御さんであれば書類を集めることもなんとか可能ですが、姪御さんだったり甥御さんだったり、そういった親等が離れたような方から申し立てをする際には、その方の財産関係ってなかなかちょっとわからないので、司法書士もその方の協力を得ながら、収支に必要な書類関係を集めていただいたり、こちらで準備した書類に書いていただいたりとか、そういったことをさせていただいてます。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は13:25から。このお話の続きは17:40前後からです。 )

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本日の放送内容のまとめ

1. 成年後見制度とは

  • 認知症、知的障害、精神障害などにより判断能力が不十分な方の財産管理や契約などを支援し、本人の権利を守るための制度です。

  • 物忘れがひどくなった、消費者被害に遭いやすいなどのケースで利用されます。

2. 主な2種類の制度

  • ① 法定後見制度

    • すでに判断能力が不十分な方のために、家庭裁判所が後見人等を選任する制度。

    • 本人の判断能力の程度に応じて**「後見」「保佐」「補助」**の3つの類型に分かれます。どの類型になるかは、医師の診断書に基づいて決まります。

    • 申し立ては、本人、配偶者、四親等内の親族などが家庭裁判所に行います。

    • 後見人には親族がなることもできますが、最終的には家庭裁判所が事案に応じて専門職(司法書士など)を選任することもあります。

  • ② 任意後見制度

    • 本人が元気なうちに、将来判断能力が低下した時に備えて、あらかじめ自分で後見人(任意後見人)や支援してもらう内容を決めておく契約です。

    • 契約は公正証書で作成する必要があります。

    • 法定後見よりも本人の意思が反映されやすく、自由度が高いのが特徴です。

    • 実際に効力が発生するのは、本人の判断能力が低下し、家庭裁判所が「任意後見監督人」を選任してからになります。

3. 手続きと司法書士の役割

  • 成年後見の申し立てには、医師の診断書をはじめ、財産目録や収支状況がわかる書類など、多くの準備が必要です。

  • 司法書士は、これらの複雑な手続きのサポートや、成年後見人として財産管理などを行う専門家です。

4. 相談窓口

  • 成年後見制度について不安や疑問がある場合は、一人で悩まずに、宮城県司法書士会などの専門機関に相談することが勧められています。相談会やネット予約も利用できます。

本日の佐々木さんのリクエスト曲は「Jupiter(ジュピター)

本日の佐々木妙子さんのリクエスト曲は 平原綾香 の『Jupiter(ジュピター)』でした。

佐々木さんのコメント 「癒しの曲でもありますが、みんな一人じゃないんだと。この地球というものの中で(ちょっと大げさなんですけど)手をつないで、みんなで助け合いながらというところが、本日の後見のお話に合っているのではないかと思いました。」


パーソナリティから 〜福祉関係者など周囲の方からご相談いただくことが多いそうです~

成年後見について、私は以前から疑問がありました。それは、判断能力が落ちてきて成年後見を受けたほうがいいと考えられるご高齢の方がひとりで暮らしている場合、ご自身では判断できない申し立ての意思決定はいったい誰が行うのだろう?ということでした。

離れたご家族にはそういった状況がよくわからなかったり、中には身寄りがないと思われる方もいらっしゃるように思ったのです。ですが今回のお話を伺って、そういったときの流れもよくわかりました。

佐々木さんのお話では、地域包括支援センターからご相談をいただくことがあるとのことで、そこから配偶者や四親等内のご親族など、申したてに協力していただける方がいるかどうかを調べていただき、その方のご協力を得て申し立てをしていく流れになるそうです。

また、たとえば施設に入居されている高齢者の方ですと、土地建物を売って施設費や病院代の支払いに充てるような場合でも、福祉関係者やケアマネージャーさんは法的な支援をすることができないので、そういった周囲の方々からもご相談をいたく場合が多いようです。(確かに老人施設に入居しているお年寄りはそこから病院に通ったり入退院することがよくあります:私の経験談)

佐々木さんは「公益社団法人 成年後見センター・リーガルサポート」という団体に所属されていますが、これは司法書士で構成されている成年後見に特化した組織です。その活動を背景に家庭裁判所から選任依頼があり、その流れで成年後見人に就任されることが多いそうです。

私の家族は、同居している私の母(87歳)も、ホームに入居している夫の両親(94歳と92歳)も共に健在で判断能力もありますが、最近は今まで以上に身近なお話に思えてきており、今回は自分の日ごろの疑問などにも答えていただきとても勉強になりました。

*記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子(ワッツ・ビジョン


お問い合わせ先

※番組でご紹介した内容/イベントや会社設立・不動産登記・相続・遺言・成年後見などのご相談に関しては宮城県司法書士会ホームページ
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