【2023.03月】民事信託という新しい制度について(大友聡美会員)

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宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送しているラジオ番組のご紹介です。この番組は宮城県司法書士会に所属する司法書士の皆さんが月に一度お話をする30分の番組です。

2023年月3月23日㈭は、宮城県司法書士会から司法書士の大友聡美(おおともさとみ)さんをお迎えして『民事信託という制度』についてお話をしていただきました。(「民事信託・家族信託」についてはこちらの記事もご覧ください)

 前半のお話  認知の低下に備え不動産等の管理を事前に親族などに託しておく制度

ー 民事信託という制度があるんですね?

大友 はい、高齢者の皆様に安心して生活していただくための新しい制度になります。具体的には、皆さんはいま不動産などの財産をご自分で管理なさっていると思うんですけれど、段々認知機能が低下してくる時期が必ず来ますので、そういうときにご家族にご自分の財産を守ってもらえる制度になります。

ー (この言い方がよいかわかりませんが)しゃっきりしているうちにこちらの制度を利用するかたちですか?

大友 そのほうがよろしいと思います。なぜかと言いますと(この制度は両者間で)契約という形態を取りますので、どうしてもご本人同士の意思がはっきりしているときでないと使えないということになってしまいます。やはりお元気なうちにこの制度を利用しながら将来に備えるほうが財産管理としては安心になると思います。

ー 貯金などのお金の部分も対象になりますか?

大友 はい、対象になります。

 

ー 認知機能が落ちて正しい判断ができなくなった時に備えて管理を誰かにお願いしておくということですね?

大友 ええ、そうですね、お子さんがいる方はだいたいがご長男、ご長女に管理の役割を担っていただくことになるのですけれど、お子さんがいないご夫婦もいらっしゃると思いますので、そういう方は甥・姪に管理をお願いする方も中にはいらっしゃいます。

ー 特に契約をしなくても家族間で可能な気もするのですが?

大友 たとえば経営しているアパートが古くなってきて大規模修繕をやりたいと思ってもその工事を契約できるのはそのアパートの所有者に限られるわけです。ですがその方が認知症などになっていらっしゃるとアパートの修繕(の契約)ができません。そういったときに民事信託を活用できるのが大きなメリットになります。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:30前後から です。)

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 後半のお話  お子さんのいないご夫婦が姪御さんに財産管理を依頼する場合

ー このチラシには姪御さんに管理を頼んでお礼としてその財産を姪御さんに残すという事例が紹介されていますが、遺言とは違うのですね?

大友 財産を残すのは遺言でもできることはできますが、他に相続人の方がいらっしゃると姪御さんだけに財産を譲るのが難しいケースも出てくると思います。

ー それでは民事信託を活用すると具体的にはどうなりますか?

大友 ここのチラシ場合(チラシのPDFはこちらです)ですと、相続人でない方にも民事信託を使って財産を残すことができますし、たとえばこのケースでご主人が先に亡くなった場合にご自宅を売って今後の生活資金にすることもできます。

ー (民事信託をしていれば)そのときの売る人(売買契約をする人)は姪御さんですか?

大友 このチラシのパターンですとそうなります。実質的にこの姪御さんがご夫婦の相談に乗ったりお世話をしていると思われます。なので民事信託を利用するときの一番のポイントになるのですが、財産を管理する方は財産をお持ちの方(所有者)の生活などのご事情を知っているかたでないとなかなかうまく回らない制度になります。つまり管理する方が誰になるのか?が重要になります。

ー やっとわかりました。財産の所有者と(売買契約等の)実際の手続きをする人が別ということなんですね。

大友 そうなります。

 

ー 「財産を残す」こともできるとのことですが、揉めないものですか?

大友 お子さんがいらっしゃらないというこのチラシの事例だと、揉めるポイントはなさそうです。ですがお子さんが二人いらっしゃって片方だけにすべて引き継がさせるということになるとやはり問題が出て来るかもしれません。

ー そこは相続と同じなんですね。

大友 おっしゃる通りです。その辺の配慮は必要になります。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は13:44から。このお話の続きは19:19前後からです。 )

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大友聡美さん(左)と番組パーソナリティの笹崎久美子

大友聡美さん(左)と番組パーソナリティの笹崎久美子

本日の大友聡美さんのリクエスト曲

本日の大友聡美さんのリクエスト曲は フジコ・ヘミング の『ラ・カンパネラ』でした。

大友聡美さんのコメント 「私はフジコ・ヘミングさんが大好きなんです。どの方も『ラ・カンパネラ』はお弾きになると思うんですけれども、私は初めてフジコ・ヘミングさんの演奏を聴いたときに衝撃を受けまして、自分にとってはこれが何かあったときに一番聞きたい曲です。よく”魂がこもっている”と表現されるのですが、私も本当にそう思います。」

(記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子)

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