【2023.05月】抵当権について(斎藤武志会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトーク(一部)を要約してご紹介しています。

2023年月5月25日㈭は、宮城県司法書士会から司法書士の斎藤武志(さいとうたけし)さんをお迎えして『抵当権』についてお話をしていただきました。

 前半のお話  抵当権は登記を先にした人が優先されるんです

ー さっそくですが抵当権とはどういったことですか?

斎藤 金融機関などがお金を貸す際に担保として物件を取りまして、それを「抵当権を設定する」という表現を使うのですが、基本的にお金を返せなくなった場合に、担保だった物件を処分して優先弁済権を確保するための権利と言うのが抵当権の内容になります。

会社でしたら事業資金、一般の方でしたら住宅ローンなどですが、住宅ローンで意識して抵当権を付けるというよりも”手続きだから”ということで書類に名前を書かれる方が多いと思います。

ー 先ほど優先弁済権と言われましたが、何に対しての「優先」なのですか?

斎藤 要するにその物件に担保を入れているほかの債権者に対して優先するということで、優先するためには登記をしなければならないので、そこに司法書士の仕事が出てきます。先に登記をした人を優先するという流れになります。

ー 複数の会社からお金を借りた場合は抵当権は一社にしか付かないのですか?

斎藤 いや、順位と言うのがありまして登記をする順番によりまして、一番抵当権、二番抵当権という風に先に登記された人が優先されるんです。そこから何かあった場合は物件を処分して、一番優先権の人に充当されて、そのあと次の人が充当するという形になります。

ー もし支払えない借金があったとしても(物件の処分等で)全額返済ができないときもあると思うのですが。

斎藤 まず、取れるものだけ取りまして・・・取れない分は仕方がないという感じでしょうか。基本的にたいていの方が順調にご返済されて、その抵当権はあとで抹消登記ということで消されるのが一般的なんですけれども、万一の時の優先弁済権を確保するために、抵当権の登記というのがあります。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:30前後からです。)

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半のお話  返済中は意識されないことが多いです

斎藤武志さん(左)と番組パーソナリティの笹崎久美子

ー 抵当権についてリスナーの方にお伝えしたいことはありますか?

斎藤 最初のお借入れのときに抵当権の登記をしてしまいますと、あとは順調に返済が進みまして、返済が終わりますとその抵当権を抹消する登記が入りまして、最初の登記とと最後の登記で基本的に終わりなんです。
稀に借りている方の住所が変わるなど、変更が入る場合もあるのですが、ご返済をしている間、ご自身は抵当権の設定をしているということは、あまりイメージされないでいるように思います。

ー 最初と最後しか意識されないわけですね。

斎藤 そうですね。注意点ということですと、たとえば会社などでは自分の所有している土地建物を担保に入れている場合に、稀に勝手に建物を壊してしまったり・・・。そうすると担保保存義務というのがあるので、それに違反してしまうと「全額返済してください」と言われる場合があります。ですので担保に入っている物件に何か変更を加えるようなときは、基本的に金融機関さんにご相談をいただいて、そこでOKをもらってからやっていただくと、のちのちのトラブルが防げます。

ー そのようなトラブルもあるのですね。

斎藤 稀にですが1回ぐらいはありました。貸している方にすれば担保も大事な財産であり、勝手に壊されたりするのは先方にとって非常に迷惑な話になると思います。もちろんお貸しするときにはその辺も説明するのですが、長い時間が経ってしまうと、ふとそれに気づかずにやってしまうということは、ないことではないですね。住宅ローンと違って企業の事業資金の場合はそういうことにも注意していただきたいと思います。

ー ほかにもトラブルなどはあるのでしょうか?

斎藤 ありますね、若い人の場合は飲食店のアルバイト等で生活を支えていた方で、そういったアルバイトが一斉になくなってしまうと、片方の仕事だけでは食べていけなかったり、飲食業自体が無くなってしまうと収入が途絶えますよね。そういった方はお気の毒に見えました。

ー 本当にそうですね。ではここからは個人再生と破産についても伺ってよいですか?

斎藤 たとえば最初にお金を借りていまして、(その後に)公的な機関からの借り入れが発生した場合に(抵当権の)順位を変えてくださいという話がある場合があるんですよ。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は13:43から。このお話の続きは16:55前後からです。 )

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。

本日の稲辺博幸さんのリクエスト曲

本日の斎藤武志さんのリクエスト曲は GARNiDELiAガルニデリア) 『ORiON(オリオン)』でした。

稲辺博幸さんのコメント 「ここしばらくずっとガルニデリアの曲を聴いていまして、かなり古めの曲なんですけれどもとても好きな曲で今回お願いしたいと思いました。」

【パーソナリティからひとこと】元々銀行員で融資にも長い間携わっていて「カウンターの反対側におりました」(前半トーク)という斎藤さんは「いずれは向こう側の司法書士の立場になってみたい」思っていたそうです。両方の立場をご存じであることが今のお仕事にも活きているということで、前半6:15分からは少しだけ裏話もお聞かせいただきました。

(記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子)

お問い合わせ先

※番組でご紹介した内容/イベントや身近な暮らしの法律のご相談に関しては宮城県司法書士会ホームページ
022-263-6755までお気軽にお問い合わせください。