【2023.11月】休眠会社の整理〜12年間登記がないとみなし解散の対象に!〜(市村康次郎会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトーク(一部)を要約してご紹介しています。

2023年月11月23日㈭は、宮城県司法書士会の市村康次郎(いちむら こうじろう)さんが『休眠会社の整理について』というテーマでお話をしてくださいました。

※過去の「会社の登記に関するお話」話はこちらをご覧ください。


 前半のお話  12年間登記のない株式会社は通知に気づかないと自動的に解散

ー 今日は休眠会社の整理というお話ですね

市村 はい。まずは休眠会社の定義ですが、最後の登記申請があったときから12年を経過して、その間何も登記がされていない株式会社を休眠会社と言っています。(一般社団法人や一般財団法人は最後の登記をしてから5年経過が対象)

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(補足)株式会社の役員の任期は最長10年と定められており、最低でも10年に1度は登記をする必要があります。そのため、12年も登記をせずに放置している会社はもはや活動していないものとみなされます。
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ー 1年前にもこのテーマでお話を伺いました。この時期は何か動きがあるのですか?

市村 実は休眠会社になるとみなし解散と言って自動的に解散の登記が入ってしまうんですね。何もしなくてもです。本来であれば(会社の解散というのは)株主の皆様で「解散しよう、清算しよう」ということになるんですけれども、それが自動的に国の方から強制的に(解散の)登記が入ってしまうという制度になっているんですね。

で、この時期なんですけれども、だいたい毎年10月ぐらいに国のほうから「あなた様の会社は12年間、何も登記をしてませんよ。このままではみなし解散になってしまいますよ」というお手紙が来るんですね。

あとは官報に公告もされるんですけれど、それを受けてまだ会社を続ける意思がある場合は届け出をしたり登記の申請をするのですが、それをしないで12月ぐらいを迎えてしまうと強制的に(解散の)登記が入ってしまうんです。

ー そうなんですね。それはもう取り返しがつかないことなのですか?
市村 ある程度・・・実は登記が入った後でも株主総会で会社継続という決議をすれば改めてすることができるんですけれども、会社の業種によっては重大なことになってしまうんです。(下部「パーソナリティからひとこと」を参照)

ー 国からのお知らせというのは見逃してしまうようなものなのでしょうか。

市村 実は私も一度だけみなし解散されてしまったお客様のお話を聞いたことがあるんですけど、官報に載る公告は一般の方にはなかなか目にする機会がないので、それだけではなくお手紙でもお知らせが来るわけですが、たとえば書留のように特別大事なお知らせという感じではなく、封書みたいなかたちで普通のお手紙で来るらしいんですね。なので見逃してしまうという方もいらっしゃるようです。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:15前後からです。)

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リクエストコーナー


 後半のお話  過料が課せられます。金額は裁判官の裁量で決定されます

ー 前半から引き継いで過料について伺います。それはつまり罰金ですか?

市村 正確に言えば過料はあやまち料と言いまして行政上のものなので、前科がつくとかそういうものではないんですけれども、ルールを破ったということで納めなくてはいけないお金です。

ー (金額は)高いのですか?

市村 金額の話は難しいのですが、正直言っていくらかわからないんです。

 

ー 会社によって違うのですか?

市村 法律では会社法によって登記の内容に変更が生じた時から2週間以内に登記をしなければいけないという約束事があるんですね。

で、今回(休眠会社のみなし解散)のように12年間登記をしなかったということは、長くても10年目で必ず役員の登記をしなければいけない状態だったものを2年間放置していたということになるので登記懈怠(けたい)、役員を選任していなければ専任懈怠ということになります。

これがあると法務局のほうから裁判所に通知が行くんですね。すると裁判官の方が裁量で「これはちょっと悪質だからいくらぐらいの過料ですね」という決定をするわけです。

ー 定額ではないんですね?「裁量」なんですね?

市村 はい、これはわからないんですねぇ。ですので受けたことがある方はおわかりなのかもしれませんが、これは代表取締役の方 個人に来るものですので金額はちょっとごめんなさい、僕もちょっと詳しいところはわかりません。憶測でお答えしても違ったりしたら困るので。

ー 役員の任期は最長10年とお聞きしましたが、たとえば任期2年の会社さんが何度も繰り返し登記を忘れていたら過料の金額が変わることもある?

市村 (不確かですが、たぶん)あるみたいなんです。やっぱり期間がどれぐらい放置しているかなどで、例えば定款で任期を2年に設定しているという会社さんが10年以上放置している場合など、期間で色々(過料の金額が)変わるということはあるようです。 (以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は13:27から。このお話の続きは16:25前後からです。 )

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本日の 市村康次郎 さんのリクエスト曲

本日の 市村康次郎 さんのリクエスト曲は GLAY(グレイ)『Winter, again(ウインターアゲイン)』でした。

市村 さんのコメント 「中学校のときからGLAYが好きでカラオケでもよく歌っていました。昔、太白区の向山に住んでいたんですけれども、向山1丁目界隈では”向山のテル”って呼ばれていました(??)(笑))」


パーソナリティから 〜事業に許認可が必要な業種は要注意!〜

市村さんのお話では、この件について気を付けなければいけないのは建設業や風営法など、事業に許認可が必要な業種の皆さんだそうです。

会社が解散になると許認可も取消となるため、必要な手続きを経て事業の継続が可能になっても許認可の取得には相応の期間がかかり、その間は事業を行うことができません。確かにそれは影響が大きい問題だと思いました。

最後に余談ですが、市村さんと私は10年前に一度、別な場所でお目にかかっていることがあとでわかり、ご縁というのは不思議なものだなぁと思いました。

今回はわかりやすい言葉で楽しく説明をしていただきました。市村さん、ありがとうございます。

(記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子)


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