【2025.9月】遺言について~種類・進め方・必要性~(斎藤武志会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトークの一部(要約)と概要をご紹介しています。

2025年月9月25日㈭は、宮城県司法書士会の斎藤武志(さいとう たけし)さんに「遺言について」というテーマでお話を伺いました。

※「遺言」についての過去記事はこちらをご覧ください。

※斎藤武志さんの過去のお話はこちらです。
➡ 2023年5月25日 【2023.05月】抵当権について

 前半  公正証書遺言が一番安全でおすすめです

ー 遺言にはいくつか種類があるそうですが?

 斎藤 基本的に5種類くらいあるんですけれども、通常使われてるのが自筆証書遺言です。これは自分で考え自分で書く自筆のものです。

それから公証役場でつくる公正証書遺言で(現在、遺言と言えば)これがメインという感じでしょうか。

あとは(私はやったことがないのですが)秘密証書遺言というものです。これも公証役場でやるのですが、遺言の内容は伏せられていて、そういう遺言があるということだけを公証人さんのほうで証明してもらうようなものです。

そのほかにも別にあるのですが、主だったものとしてはこの3つです。

ー その中では公正証書遺言が一番有効なのですか?

 斎藤 (有効というよりは)一番安全といいますか、遺言は様式が決まっておりまして、それが一つでも欠けると形式不備ということで無効になってしまいます。

自筆証書遺言は実質的にお金もかからないし公正証書遺言のように承認も要りませんし、一番気軽にできますが、形式不備があった場合には、その内容が全く実現されないという危険性があります。

それに比べると公正証書遺言は経験豊かな公証人という専門家が内容をチェックして、さらにご本人様であるかどうかの確認や、ご本人様に意思能力があるかどうかなどを最終的にチェックして発行して成立する遺言ですので、内容を実現する安全性という点では、公正証書遺言が一番よろしいと思いますし、私も個人的には一番そちらをお薦めしています。(自筆がダメだというわけではないのですが)

それに付随いたしましていま、自筆証書遺言を法務局で保管する制度というのが出てきたんですけれども、それについても後ほど少しお話をしてみたいと思います。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:00前後からです。)

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半  自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度ができました

司法書士の斎藤武志さん(宮城県司法書士会)と番組パーソナリティの笹崎久美子

ー 前半は遺言の種類について伺いましたが制度も色々変わっているそうですね

 斎藤 令和2年に自筆証書遺言を法務局で保管してもらう制度ができまして、それについてのメリット・デメリットをお話できたらと思います。

先ほども申し上げましたが、自筆証書遺言は形式的な不備があると、その方が亡くなってもその方の思いがご達成されないという危険性がありました。そこで法務局で保管する制度ができました。

これは自筆証書遺言を法務局で扱う際に形式をチェックしてもらって、いざ亡くなった後に内容不備で無効になったりすることがないようにできた制度であると思います。

ー チェックが重要なんですね?

 斎藤 そうですね、これによってその自筆証書遺言は検認手続きという家庭裁判所の手続きも不要になります。

ー そのうえで保管もしてもらえるのは安心ですね

 斎藤 ただ、今度はデメリットの部分になりますけれど、遺言者が自筆証書遺言を法務局に申請する場合は基本的に他人の同席ができないんです。なのでご高齢の方ですと戸惑ってしまうところがあるかもしれませんね。

それから法務局では遺言書を保管するだけで内容は見てくれないんですよ。公正証書遺言ですと公証人さんが中身もチェックしてくれるんですけれども、法務局で保管する場合はあくまでも形式に不備がないかだけのチェックなので、実際、本当に遺言者の方が思っている通りの内容かどうか?というのは全く担保されないんです。

ー なるほど、日付はあるか?判子はあるか?住所はあるか?という感じなんですね

 斎藤 そうなんですよ。例えば「補完制度と公正証書遺言と、どちがらいいですか?」みたいな感じの相談にもタッチしないです。

それから一番問題なのは、書いた遺言書を持っていくんですが、果たしてそれがご本人の意思で書かれたものかどうかというのも全く担保されないということなんですよね。だから推定相続人さんが認知症の方をだまして書かせるとか、他の人が代筆して書いていったとしても、筆跡を見るわけでもないので、その辺はちょっと危険性があるかな、と思います。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は13:56から。このお話の続きは17:45前後からです。 )

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


本日の斎藤さんのリクエスト曲は『WE ARE YOU』

本日の斎藤武志さんのリクエスト曲は 緑仙(りゅーしぇん、Ryushen)『WE ARE YOU』でした。

斎藤さんのコメント 「仙台在住なのでベガルタ仙台の応援ソングで緑仙(りゅーしぇん、Ryushen)の『WE ARE YOU』をお願いします。緑仙は人ではなくキャラクターが出て来て歌ったり踊ったりするバーチャルライバーなんですが、この前初めてライブにも行きました。」


パーソナリティから 〜遺言を身近にとらえてほしいと思いました~

私の知人で実際にあった話ですが、高齢の独身女性が会社を経営する高齢のお兄さんと二人で暮らしていて、お兄さんは自分が亡くなったあとの遺産は一人残される妹の生活費に充ててほしいと思っており、常日頃から妹にもそのように話をしていました。

二人の間では遺言を作るお話も出ていたそうですが、その前にお兄さんが突然亡くなってしまい、そのお兄さんには若いころに離婚した元妻との間にお子さんがいたため、財産はすべてそのお子さん(今はまったく交流がない)に渡ってしまい、妹さんは一銭も受け取ることができませんでした。

法的に有効な遺言がないと故人の意思が反映されないと斎藤さんが番組でおっしゃっていたのはまさにその通りで、斎藤さんによれば、必要性を感じながら先延ばしをしているうちに「あのときに作成しておけばよかった」と悔やまれる事例をたくさん見て来たそうです。

遺言と聞くと”お金持ちが書くもの”というイメージがありますが、決してそうではなく、内縁関係の方や同性のパートナー同士など、法定相続人以外の方と長く暮らしていて、法律に沿った相続が行われると現実に合わないという方もいらっしゃると思います。

斎藤さんは「故人の遺志の実現」という言葉を何度か使いましたが、お話を伺って多くの人にもっと遺言を身近にとらえてほしいと思いました。

*記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子(ワッツ・ビジョン


お問い合わせ先

※番組でご紹介した内容/イベントや会社設立・不動産登記・相続・遺言・成年後見などのご相談に関しては宮城県司法書士会ホームページ
022-263-6755までお気軽にお問い合わせください。

AIがまとめた本日の主な放送内容

遺言の主要類型と概要

自筆証書遺言
◦低コスト・手軽に作成可能。
◦形式要件(例:日付、押印、単独作成など)を欠くと無効となるリスクが高い。
◦原則として家庭裁判所での検認が必要。検認で形式不備が発覚すると遺言が効力を持てず、遺産分割協議に移行する。

公正証書遺言
◦公証人が内容・意思能力を確認し作成するため、実現性・安全性が最も高い。
◦本人が移動困難な場合は公証人の出張対応が可能(追加費用あり)。
◦費用感は一般的なケースで数万円程度(資産規模により変動)。

秘密証書遺言
◦内容は秘匿しつつ、遺言の存在のみ公証人が証明する方式。
◦実務では利用頻度は高くない。

相続人以外への遺言

・遺言であれば、内縁関係・同性パートナー・長年の支援者など相続人以外への財産承継を指定可能。
・ペットへの直接の承継は日本法では不可。世話を担う人へ「飼育費用等」を遺贈して実質的に支援するのが現実的。

自筆証書遺言の法務局保管制度(令和2年開始)

制度の趣旨・運用
◦自筆証書遺言を法務局が保管し、形式面のみを事前確認。保管した自筆証書遺言は検認手続不要。
◦亡くなった後、推定相続人へ保管通知が届くため、紛失・所在不明のリスクが低減。

メリット
◦利用コストが低い(保管手数料は約3,900円)。
◦検認不要により、手続の負担・時間を軽減。
◦保管場所が公的に明確化され、発見性が高まる。

デメリット・留意点
◦法務局は形式確認のみで内容の妥当性・本人意思の真偽は担保しない。
◦本人の意思能力や他者の関与の有無の確認は制度上の対象外。
◦窓口での他者同席が不可であるため、高齢者等には手続が煩雑に感じられる可能性。

利用状況
◦最近の公表では、全国の保管件数は約10万件(6月時点)と増加傾向。

動向:遺言のデジタル化検討

・データ保存+録音・録画等で真実性を担保する案などが検討中。
・紙中心からデジタル活用へ移行する方向性が議論されている。

遺言に関する課題

・自筆証書遺言の形式不備により無効となり、遺言どおりに実現できないリスク。
・法務局保管制度は本人意思の真正(強要・詐欺の有無や筆者本人確認)を担保しない点。
・相続人が多数の場合、遺産分割協議が長期化しやすく、ハンコ取得などの実務負担が増大。
・移動困難な高齢者など、手続遂行に支援が必要なケースがある。
・登記未了による所有者不明土地の増加など、承継後の名義変更遅延の社会的影響。

遺言に関しての推奨

安全性重視の基本方針
◦実現性・紛争予防を最優先する場合は、公正証書遺言を推奨。
◦コストと本人の状況による使い分け
◦若年で意思能力に問題がなく、費用を抑えたい場合は法務局保管制度を選択肢に。
◦高齢者や家族が手続を支援するケースは、公証人の面談・出張対応がある公正証書遺言が安全。

希望の具体化
◦相続人以外への承継希望(パートナー・支援者等)がある場合は、必ず遺言で明記。
◦ペットに関する希望は、世話人指定+費用遺贈等の形で実現を図る。
◦早期着手
◦相続人が多い・関係が複雑な場合は特に、ためらわず速やかに遺言作成に着手する。