【2025.7月】抵当権の抹消登記について(佐々木佳代会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトークの一部(要約)と概要をご紹介しています。

2025年月7月24日㈭は、宮城県司法書士会の佐々木佳代(ささき かよ)さんが「抵当権の抹消登記」についてお話をしてくださいました。

※不動産登記についての過去の記事はこちらをご覧ください。


 前半  抵当権の抹消登記をしないと?

ー 抵当権という言葉はよく聞くのですが、そもそも抵当権というのはなんでしょうか?

佐々木 はい、今日は抵当権の抹消の登記についてお話をさせていただくので一応抵当権って何ですかっていうことを簡単にご説明いたしますと、抵当権というのは、住宅ローンなどの返済を保証するために土地や建物に設定される権利のことなんですね。

まず銀行さんからお金を借りて、土地や建物を買ったりすることがあると思います。万が一、その貸したお金を返してもらえないような状況になったときに、この抵当権という権利を持っていると、その土地や建物をお金に変えることができるんです。

ー 貸す側にとっては保険のようなものですね。それはあとで抹消をするもなのですか?

佐々木 相続登記の義務化が始まっていますけれど、基本的に抹消してもしなくても、そこは個人の自由みたいなところがなくはないのですが、お金を返し終わると銀行さんのほうから、抵当権を抹消していいですという書類を渡されるんですよ。それをすぐにやっていただいたほうがいいということをお話したいと思っています。

ー 早いほうがいいんですね?

佐々木 そうですね。時間が経ってしまうといただいた書類だけでは手続きが進まないことがあるんです。

例えば何年間かそのままにしてしまったということになると、その当時、その書類を出していただいた時期の代表者さんが変わっているということもあるんですね。そうなるとその出された書類当時の代表者さんが、そのとき代表権を持っていたということを証明する書類などもさかのぼって出していかなければならなくなります。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは06:50前後からです。)

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※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半  抵当権の抹消登記は早めに

司法書士の佐々木佳代さん(左)と番組パーソナリティの笹崎久美子

ー 抵当権を抹消登記しない場合の影響は?

佐々木 抵当権は設定するときも抹消するときも法務局に手続きをしなくてはいけないので、自動的に設定されたり抹消されたりすることはないものです。

抵当権が設定されているのは登記簿を見るればわかるので、例えば建物の増築や改修で新たにお金を借りる時に、銀行さんなどの金融機関は登記簿を必ず確認されますから、前の借入金の返済が全部終わっているのに抵当権が登記簿に残っていると、消してくださいという要請を受けます。

ー そこで前半のお話のように時間が経ったりしていると手続きが複雑になるわけですね。実際にそういうご相談はあるのですか?

佐々木 あります。書類を受け取ってはいたのですが「していませんでした」ということがあったのですが、実は相続の登記もまだだったんです。

亡くなった方は抵当権の手続きはできないので、まず相続をしてそれからということになり、時間がかかってしまいます。なので抵当権の抹消登記はたとえ義務ではなかったとしても、後からのことも考えますと、できるときに早めにやってしまったほうがいいと思います。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は12:29から。このお話の続きは17:40前後からです。 )

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AIがまとめた本日の主な放送内容

抵当権の基本概念

・抵当権は住宅ローンなどの返済を保証するために土地や建物に設定される権利
・銀行などの金融機関が貸したお金が返済されない場合に、担保となる不動産を売却してお金に変えることができる権利
・優先順位の概念があり、金融機関は通常、既存の抵当権を消してから新しい抵当権を設定することを要求する

抹消登記の重要性と緊急性

早期手続きの必要性
・ローン完済後、金融機関から抹消に必要な書類(解除証書、消滅証書、弁済証書など)が提供される
・時間が経過すると手続きが複雑化し、追加書類が必要になる

時間経過による問題
・金融機関の代表者変更により、当時の代表権を証明する書類が必要
・会社登記簿を遡って取得する作業が発生
・書類の紛失や再発行の必要性
・金融機関の解散などの可能性

抹消登記を放置することの影響

登記上の問題
・抵当権は自動的に消滅せず、登記手続きを行わない限り登記簿上に残存
・実際には返済完了していても、形式上は抵当権が設定されている状態が継続

実務上の支障
・増築やリフォームのための新規ローン申請時に問題となる
・金融機関から既存抵当権の抹消を求められる
・相続が発生した場合、相続登記と抹消登記の両方が必要になる

手続きの選択肢と相談窓口

手続き方法
・自分で法務局に相談しながら進める方法
・司法書士に依頼する方法(金融機関からの紹介も含む)

相談サービス
・宮城県司法書士会の無料相談を利用可能
・電話相談:月曜・水曜・金曜の午後1時30分~4時30分(予約不要)
・面接相談:ホームページからWeb予約が必要

本日の佐々木さんのリクエスト曲は「ケセラセラ」

本日の佐々木佳代さんのリクエスト曲は Mrs. GREEN APPLE(ミセス・グリーン・アップル) の『ケセラセラ』でした。

佐々木さんのコメント 「実は私数年前までこの曲を存じ上げなくて、初めて聞いたときには、なんてもったいないことをしたんだろうと思い衝撃的でした。すごく元気になる曲です。ビール(キリン:グリーンラベル)のCMにも使われています。」


パーソナリティから 〜売買のチャンスを逃すこともあるのでは?~

昨年、大分在住だった夫の両親が仙台の老人施設に入居することになり、それまで住んでいた家を売りに出しました。ですが築50数年の古い家ですし、駐車場も天井の低い掘り込み式車庫(セダンタイプの車しか入らない)であることなどから、1年間はまったく売れませんでした。

最近になってようやく買い手が現れて家は無事売れたのですが、その方は「なるべく早く住みたい」ので早期の手続きを希望されていました。

というのもその方は、それまでお住まいだった賃貸マンションを急きょ出なければならないご事情と、老人施設からお母様が帰ってくるタイミングが重なり、購入を急がれていたようです。

佐々木さんの今日のお話を聞いていて、そんなときに抵当権の抹消登記が完了していないとせっかくの機会を失ってしまうのでは?と思いました。

家の増改築に関しても至急進めなくてはならない場合があるかもしれません。何事もそうですが、後になってから困らないようにやるべきことは早めに済ませておくのがやっぱりいいですね。

*記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子(ワッツ・ビジョン


お問い合わせ先

※番組でご紹介した内容/イベントや会社設立・不動産登記・相続・遺言・成年後見などのご相談に関しては宮城県司法書士会ホームページ
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