うっかり言ってしまいがちな法律上の「勘違い言葉」やちょっとした誤解について(澤山武之会員)

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エフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で宮城県司法書士会が放送したラジオ番組のご紹介です。2021年2月25日㈭は、宮城県司法書士会 企画広報委員の澤山武之(さわやまたけゆき)さんに「法律手続き上の言い間違いや誤解について」お話を伺いました。番組は毎月第4木曜日の14時からオンエア中!

前半のお話「権利証について」

ー 今日のテーマは?

澤山 私達が仕事をする上で一般の皆さんが、誤解や勘違いをされていることが多いように感じていることについて、触れていきたいと思います。

まず、不動産の取引で権利証という言葉をよく聞くことがあると思います。単純な言い間違ではないかと思いますが、権利証のことを登記簿と思っている方もいらっしゃいます。

登記簿は不動産の権利者(所有者)や広さが書いてあるものですが、これは誰でもいつでも取れるんですね。それに対して権利証というのはその不動産に関して世界に一つしかないもので、その土地の所有者を証明しているものです。

つまり登記簿はただ単に(この不動産は)こういう状況ですよ、ということが書かれてある、誰でも見られるものなのですが、土地の権利証をもって来てください、とお願いしたときに(お客様が)持って来られたのが登記簿だったというケースが結構あり、それで別な手続きが必要になったり、または改めて持ってきていただくことがなどがあります。

ー 大事なものすぎて逆にどこにしまったか忘れてしまう方もいそうですね。

澤山 その「大事なもの」というところでお話すると、権利証をお借りするときにどうしても貸したくないという人もいらっしゃるんです。

家を買って権利証を渡されたときに「絶対、家から出してはいけない」「誰にも貸してはいけない」と言われ、「持ち出したらダメなものだと言われたから渡したくない」という方もたまにいらっしゃるんですね。

権利証は不動産の売却や担保の手続きに使うためにあるものなので、そこはちょっと誤解されているかな、という感じですね。司法書士の手続きではお借りるするのが原則ですので「家から出してはいけないものではない」ということです。渡された時の説明が極端すぎるのかなと思います。(この続きは再生プレイヤーでお聴きください ※06:10以降)

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後半のお話「法律上の”相続放棄”とそうでない放棄」

澤山武之さん(左)と番組パーソナリティの笹崎久美子

(※13:20以降)

ー ほかにはどういったものが?

澤山 司法書士会のいろいろな電話相談を担当していて、相続のご相談を受けることがあります。

相続というのはどなたかが亡くなって遺産を承継することですが、相談される方のお話を聴いていると「生きている間に遺産を誰かにあげたい」というご相談で、実際は生前贈与に関するお話だったことが今まで何件かありました。

こちらも単純な言い間違いだとは思うのですが、”相続”となると亡くなったときのお話ですので、もし思い違いをしている方がいらっしゃるようでしたら、(厳密には)「それはちょっと違うんですよ」とお伝えしたいです。

ー そうなるとお話の主旨が変わってしまいそうですが、それが一度ではなかったのですね。

澤山 意外にあるような気がします。

あとこちらは”相続”のほう(人が亡くなったほう)の話ですが、相続放棄という言葉を使われるがいらっしゃいます。

確かに相続放棄という法律上認められた手続きがあります。その場合は、亡くなったことを知ってから3か月以内に裁判所に対して「まったく相続はしないですよ」という申し立てをすることを意味します。

これは法律的には相続人が存在しなかった(生まれなかった)という手続きなんです。(法律上は)生まれていないという扱いなので、プラスの財産も借金などのマイナスの財産も一切相続しませんよ、ということになり、これは厳格で強力な手続きなので3か月以内という期限が決まっているわけです。

ですが、中には相続人同士で話し合いがまとまり「自分は受け取らない(要らない)」と決めた方も、同じように放棄という言葉をお使いになるので(法律上は別なもの)、裁判所に対して行う手続きとしての放棄と意味合いが混在してしまい「3か月以内でなければダメなのでは?」と焦る方もいらっしゃるんです。(この続きは再生プレイヤーでお聴きください。※17:50以降)

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本日の澤山武之さんのリクエスト曲

澤山武之さんのリクエスト曲はBREAKERZ(ブレイカーズ)『I love my daughter』(アイ・ラブ・マイ・ドーター)でした。
昨年娘さんが生まれて歌詞にとても共感できるそうです。

(パーソナリティ 笹崎久美子)

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