【2026.2月】「相続」が「争族」にならないようにするためには?(山口元気会員)
エフエムたいはく『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時から仙台市のコミュニティFM局で放送している30分のラジオトーク番組です。(78.9MHz)
このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトークの一部(要約)と概要をご紹介しています。
2026年月2月26日㈭は、宮城県司法書士会の 山口元気(やまぐち げんき)さんに相続についてお話をしていただきました。
※これまでの「相続と登記」についての過去記事はこちらをご覧ください。
※これまでの「遺言」についての過去記事はこちらをご覧ください。
前半 ①土日祝でも会社設立が可能に ②相続の争いは15,379件!
ー 今回は相続がテーマですが、その前に新しいニュースがあるそうですね
山口 はい、会社設立のお話になりますが、今までは会社法の規定により設立の登記をした日が会社設立の日でした。
裏を返すと法務局が閉庁している土曜や日曜・祝日に設立日を設定することができませんでした。つまりこの日にしたいと思ってもその日が法務局の閉まっている日であればできないということになります。
それが今月(2026年2月)改正されまして、事前に申請すれば土日祝日でも会社設立日にすることができるようになったんです。
ー まさに今月のお話なんですね!会社の誕生日ですからこだわりってありますものね
山口 ありますね。皆さん末広がりなので「8」がいいとか、何かの記念日と同じ日にしたいとか、色々ご希望があっても、今まではできないケースもありました。
事前申請にはルールもあるのですが、これによってかなり自由度が大きく向上したと思います
ー ありがとうございます。それではここから本題の相続についてお願いいたします。今日はセミナーの資料もお持ちいただきました
山口 はい、ラジオではお見せできないのですが、ここに「争族」と書いてありますように、親族が争う相続が年々増えていることを知っていただいて、どうしたら争いが起こらない形で終えられるのか?というところをお話させていただきたいと思います。
ー かしこまりました。今この資料を拝見すると「15,379」と書いてありますがこれは?
山口 これは家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割の申立件数です。つまり、もう当事者同士で話し合いがまとまらなくて、裁判所に解決を求めることになったケースの数を示しています。
ー すごく多いんですね
山口 そうですね。平成12年ですと半分の8000~9000件だったものが、約20年で2倍近く増えています。
これはあくまでも裁判所に持ち込まれたものなので、裁判所には至らなくても(その手前で)揉めているケースもあることを考えれば、実際は数倍から数十倍ぐらいは争いが起こっているのでは?と推測できます。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは06:25前後からです。)
※音源はApple、Spotify、Amazon等の各Podcastでも配信しています。
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※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。
後半 おひとり様からご相談があると「よく来てくださいました」と思います
ー 前半で遺言を作成したほうがいい方のお話を伺いましたが、「おひとり様」の方もそうなんですね
山口 はい、本当につくっていただきたいな、と思います。
ご結婚歴がなく奥様もいらっしゃらずお子様もいない方は、相続人が誰もいないということになります。ご自身が亡くなるご年齢になると(通常は)お父様もお母さまもお亡くなりになっているので、ご兄弟もいないということになりますと、財産は誰のものにもならないという状態になります。
そうなるとその財産の管理をしていただく専門家を専任したりですとか、そういった過程をすべて経て最終的には国庫に帰属してしまうんです。
以前、子猫ちゃんのお世話をよくお隣さんがやってくれたので、その方に譲りたいという遺言を書いた方もいらっしゃいましたけれども、(遺言がなければ)自分の財産をどこかに寄付するとかそういうこともできなくなってしまいます。
ー 今、ふと思ったのですが、おひとり様の場合はその方が亡くなった場合、どなたがご相談に来られるのですか?
山口 そうですね、たとえば亡くなられた方の不動産を買いたい業者さんが「ここを買いたいのですが相続人がいないらしくて・・・」ということで見えたり。
あとはご自身でわかっていらっしゃる方も多くて「私、一人っ子で独り身なので(遺言を)つくらないとなんかダメらしいですよ」って。
そういう方だと「よく来てくださいました」と心から思います。これでもう本当に、将来安心して暮らせると思いますよ、と。
ー 非常に実感がこもっていらっしゃいますね
山口 もう今までの皆様の思いですとか(遺言があれば解決できたのに)「どうしてつくっていなかったの?」と大変残念に思う気持ちが多くてですね。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は15:34から。このお話の続きは18:30前後からです。 )
※音源はApple、Spotify、Amazon等の各Podcastでも配信しています。
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本日の山口さんのリクエスト曲は『上を向いて歩こう』
本日の志賀昌浩さんのリクエスト曲は 坂本九の『上を向いて歩こう』でした。
※リクエスト曲をご紹介するための引用ですが権利等の都合により視聴できなくなる場合があります。
※この曲のYouTube Music の公式音源リンクはこちらです。
山口さんのコメント 「司法書士の勉強は地道につらいものがあったんですけれど、この曲を聞いて帰り道に空を見上げながら帰っていた思い出の曲です。」
パーソナリティから 〜残念で悔しい思いをしないために~
山口さんのお話では、遺言の作成を特に推奨したいのが、相続人の中に認知症の方がいる方や、再婚歴があって前夫・前妻さんとの間にお子さんがいる方だそうです。
たとえば配偶者が認知症の場合は、遺産分割に成年後見人の選任が必要となり、時間とコストが大幅に増えますし、異母・異父きょうだいも法定相続人のため戸籍調査で想定外の争族関係が分かった場合は、遺産分割協議が混乱・長期化しやすいとのこと。
前にも書きましたが、私の知人で高齢のお兄様と二人暮らしだった80代の女性がいて、兄妹の間では、お兄様が亡くなったときには妹さんの今後の生活費として、お兄様の財産を妹さんが譲り受けることで合意していたのですが、実際には1円も受け取ることができなかったという事例をよく知っています。
実はそのお兄様には再婚歴があり若いころに奥様だった方との間にお子さんがいたのです。かなり早い段階で離婚されたそうなので、元妻やそのときのお子様とはすっかり縁が切れていて、それ以来の数十年は一度も会ったことがないのですが、遺言書がなく口約束だったため、お兄様の財産は法定相続人である実子に渡ってしまい知人の女性は呆然としたそうです。
きっと司法書士の皆さんはこれに似たケースを山のようにご存じで、そのたびに悔しい(?)思いを強く感じて来られたのかもしれません。それが山口さんのお話によくにじんでいることを感じました。
自分の知っているケースを思い出し、大変共感できた本日のお話でした。
*記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子(ワッツ・ビジョン)
お問い合わせ先
※番組でご紹介した内容/イベントや会社設立・不動産登記・相続・遺言・成年後見などのご相談に関しては宮城県司法書士会(ホームページ)
022-263-6755までお気軽にお問い合わせください。
AIがまとめた本日の主な放送内容
※放送音源から自動的に作成された内容を掲載しております。正確な情報や詳細に関しましては実際の音源を試聴してご確認ください。
会社設立手続の最新情報
制度改正の要点
◦2026年2月2日に改正。法務局閉庁前に設立登記を申請すれば、土日・祝日を会社の「設立日」として指定可能に。
◦完全自由指定ではなく、閉庁前(例:週末の前営業日)までの申請など運用ルールあり。
期待効果
◦記念日や縁起の良い日(例:日曜・祝日)を設立日に設定しやすくなり、設立日の自由度が向上。
留意点
◦詳細運用は法務局の案内・ウェブサイトを参照し、個別案件で適合性を確認。
相続の現状と課題
”争族”の増加傾向
◦家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件は15,379件。
◦平成12年頃は約8,000〜9,000件で、約20年でほぼ倍増。
◦裁判所に至らない紛争も多数存在し、実数はこの数倍規模と推測。
”争族”に至る主な原因
◦生前の家族間の情報共有・話し合い不足により、死後の突然の協議で感情的対立が先鋭化。
◦相続関係・財産内容の把握不足(前婚の子の存在など)により、協議・手続が複雑化。
紛争予防のためには
生前対話の推進
◦財産の全体像と分配意向(自宅の承継、預金の配分等)を事前共有。
◦死を前提とする話題のため切り出しにくさがある点を踏まえ、タイミング・表現に配慮。
遺言の活用
◦自筆証書遺言/公正証書遺言のいずれかを選択し、専門家とともに適式・実現可能性を担保。
◦死後の遺産分割協議への全面依存を避け、被相続人の意思で配分方針を先行決定。
遺言作成を特に推奨するケース(優先度)
相続人がいない「おひとりさま」
◦相続人不存在の場合、財産は管理・手続を経て最終的に国庫帰属の可能性。
◦寄付やお世話になった人(例:ペットの世話をしてくれた近隣者)への承継指定で意思を反映可能。
相続人に認知機能低下(認知症等)がいる
◦遺産分割には成年後見人の選任が必要となり、時間・コスト負担が増大。遺言で分配方針を事前確定。
再婚歴・前婚の子がいる
◦異母・異父きょうだいも法定相続人。戸籍調査で想定外の相続関係が判明し、協議が混乱・長期化しやすい。
特定相続人へ渡したくない意向がある
◦生前の貢献度に応じた厚配分などのニーズに対応。遺言で方針明確化を図る。
法的・実務上のポイント(補足)
遺留分の制約
◦遺言により大幅偏在を定めても、直系卑属・配偶者等の遺留分は原則保障され、侵害額請求は通るのが基本。
◦改正民法により、遺留分は金銭請求中心へ移行。金額の算定等で争いが生じれば弁護士関与が想定される。
生命保険の活用
◦指定受取人がいる死亡保険金は、原則受取人の固有財産として扱われ相続財産に直ちに算入されない。
◦著しく過大でない限り、遺留分への影響を抑えられる可能性があり、偏在配分の補完策となる。
◦遺言だけでは実現しにくい配分意向を、保険設計と組み合わせて実現する余地。
実務対応
◦個別事情(家族構成、資産構成、健康状態等)に応じて設計が異なるため、専門家とケースバイケースで最適化。
相続/争族の課題
◦家族間で死を前提とする話題のため、準備着手が遅延しやすい。
◦前婚の子など相続関係の不把握により、協議が長期化・紛争化するリスク。
◦相続人に認知症等がある場合、後見選任等で時間・費用の負担が増大。


