司法書士法の改正と歴史について(高澤哲也会員)
宮城県司法書士会がエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送したラジオ番組をご紹介しています。8月は今月から改正された司法書士法の変遷と司法書士の歴史についてのお話でした。番組は毎月第4木曜日の14時からオンエア!
8月27日の高澤哲也さんの放送音源
※番組概要および最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。
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8月27日の高澤哲也さんの放送内容
2020年8月27日㈭は石巻から
宮城県司法書士会 の理事の
高澤哲也(たかさわてつや)さんに
おいでいただき
「司法書士法の改正と歴史」
というテーマでお話を伺いました。
前半のお話「司法書士法が改正されました」
昨年の6月に司法書士法が改正され今年(2020年)の8月1日より施行されました。
この改正により、司法書士が法律の実務家・専門家であることが法律で明言されたことに大きな意味があり、「非常に重要な法改正」という位置づけです。
高澤さんのお話では司法書士や弁護士が誕生したのは明治5年(1872年)8月3日。江藤新平司法卿のときに布告された
「司法職務定制」により初めて専門家として公的に認められました。
その頃の司法書士の業務は裁判所に提出する訴状の作成が主な仕事だったため「代書人」という名称でした。また、弁護士は「代言人」公証人は「証書人」などいずれも現在とはずいぶん異なる名前だったとのこと。
その後、幾度かの法律の改正を経て業務が広がり活動内容も明確化されいまに至っているそうです。
高澤さんは今回、本日のテーマとして「司法書士改正から観る司法書士の歴史と日本の文化に根づいた司法書士制度について」
というタイトルで資料をまとめ、番組にもご持参くださいましたので一部をこのページの下部に掲載いたします。
弁護士と司法書士は今では重複する業務もありますが、高澤さんがお話の中で
「弁護士は(法廷等で)紛争を解決する仕事
司法書士は(契約書等で)紛争を予防する仕事」
と話してくださったのが非常にわかりやすく心から納得しました。
高澤さんは司法書士として30年のキャリアをお持ちですが平成14年の法改正で司法書士の権限に簡裁代理権が加わり司法書士も条件付きで訴訟を担当できるようになったことが一番感慨深くこれからも頑張ろうと心が引き締まり気持ちを新たにしたそうです。
リクエストコーナー
高澤さんのリクエスト曲は永井龍雲さんの「標ない旅(しるべないたび)」でした。
40年前の曲で高澤さんに勇気を与えてくれる曲です。中学3年か高校1年生ぐらいに聞いていたそうです。
後半のお話「震災後の沿岸部の相続事例について」
番組後半は、東日本大震災後に担当した沿岸部の相続事例をご紹介いただきました。
津波で被災した沿岸部は、市町村の土地の買い上げに際して、長年相続登記がされず土地の名義が何代も前の方になっていたり遺産分割がスムーズにいかないなど、復興にも様々な障害があったようです
ご紹介いただいたエピソードでは司法書士としての高澤さんが相続登記、未成年の特別代理人申請、調停の申し立て、供託の手続きなど司法書士の3つの柱となっている「登記」「供託」「訴訟」をすべて担当して業務を完結でき、権利の擁護に貢献できた非常に思い入れの大きい案件だそうです。
高澤さんのお話からは震災の復興に向けて司法書士の皆さんが一丸となって対応して来た経緯と高澤さんご自身の熱い思いが伝わってきました。
最後に高澤さんからリスナーの皆さんへのメッセージは「司法書士は女性が向くのでぜひ女性の方になってなっていただきたい」
とのことでした。
詳しくは番組後半のトーク(13分45秒以降)でご確認ください。
司法書士改正から観る司法書士の歴史と日本の文化に根づいた司法書士制度について
(以下、いただいた資料から書き起こし)
司法書士は明治5年(西暦1872年)8月3日、江藤新平司法卿のときに布告された「司法職務定制」により誕生しました。
同時に、「代言人」(のちの弁護士)、「証書人」(のちの公証人)も誕生しました。
明治5年に誕生した時の名称は、「代書人」でした。
当時の業務は、裁判所に提出する訴状の作成が主な仕事でした。その後、大正8年9月15日に施工された司法代書人法により、「代書人」から「司法代書人」に名称変更がなされました。
当時の業務も裁判所に提出する訴状の作成が主な仕事でした。その後、昭和10年4月2日公布の司法書士法により、名称が「司法書士」に変更されました。
当時の業務も「他人の嘱託を受け裁判所および検事局に提出すべき書類の作製を為すを業とするものを謂う」として、裁判所に提出する訴状などの作成が主な仕事でした。戦後になり、昭和25年に司法書士法が全面改正され、その時の業務が、「他人の嘱託を受けて、その者が裁判所、検事庁若しくは地方法務局に提出する書類を代わって作成することを業とする」となり、
裁判所に提出する書類の作成と法務局に提出する書類の作成が主な業務となりました。さらに、昭和53年の司法書士法改正により、
登記又は供託に関する手続きについて代理すること
裁判所、検察庁、法務局に提出する書類の作成 などが主な業務となり、登記手続代理業務が業務として明確に加わりました。そして、平成14年5月7日公布、平成15年4月1日施行の司法書士法改正により、今までの業務のほかに、簡易裁判所訴訟代理権が業務として加わりました。
なんと、平成14年は、日本に司法書士が誕生してから130年の節目の年でした。その後、登記手続、裁判所提出書類作成、簡易裁判所訴訟代理権、債務整理、成年後見や相続手続きなどの司法書士の活動が認められ、作成の令和元年6月12日公布、令和2年8月1日施行の司法書士法改正により、司法書士法に司法書士の使命を明らかにする規定が創設され、この司法書士の使命規定により、明文で、司法書士は法律の専門家、国民の権利を擁護する使命を持った専門家であり、司法書士の行う業務が法律業務であることが明確になりました。
この改正に至るまで明治5年の司法書士法誕生から実に147年の月日が経過しました。我々司法書士は、これからも経済的、社会的弱者の法的救済などをとおして、この与えらえた使命の実践に向けて意気揚々と活動していきたいと思います。
(高澤 哲也 会員)
お問い合わせ先
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022-263-6755までお気軽にお問い合わせください。
(パーソナリティ 笹崎久美子)