100年前の登記(休眠抵当権)を抹消するには(佐藤弘章会員)
宮城県司法書士会がエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送したラジオ番組です。10月は明治、大正、昭和の初め頃に付けられて今も残っている休眠抵当権の抹消についてのお話でした。番組は毎月第4木曜日の14時からオンエア!
10月22日の佐藤弘章さんの放送音源
※番組概要および最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。
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10月22日の佐藤弘章さんの放送内容
2020年10月22日㈭は
宮城県司法書士 企画広報担当理事の
佐藤弘章(さとうひろあき)さんに
「100年前の登記(休眠抵当権)を抹消するには」
というテーマでお話を伺いました。
前半のお話「誰もわからない抵当権が土地に残っていることがあります」
今回は佐藤さんが担当した珍しい案件から100年前の抵当権が残っていたというお話をご紹介いただきながら、いまとなっては誰も何もわからないその抵当権を抹消する手続きについて解説していただきました。
抵当権と言うのはお金を借りて不動産を担保に入れたときに付ける登記です。古くからの家が代々続く農村地域などにはそれが残ったまま四世代も五世代も過ぎてしまい、忘れられて100年以上経過したまま今に至っている土地などもあるそうです。
お金を返したり消滅時効を援用すれば担保は外れますが、手続きをしなければ登記はずっとそのままいつまでも残り続けます。
抹消の手続きがされずに長い時間が経ってしまうと、ご先祖様がお金を借りた相手は何者なのか、借金は返済済みなのか、いまとなっては現在の土地の持ち主に尋ねてもまったくわからず借用書さえないケースもあるとのこと。
それで何かに困ることは通常はないのですが、土地を売却したり新たに担保に入れる場合には障害になってしまいます。
佐藤さんの例では相続のご依頼があったときにそれが初めてわかったそうです。ではそれを抹消するにはどういう手続きが必要になるのでしょうか。そのお話は後半に。
リクエストコーナー
佐藤さんのリクエスト曲は「I LOVE YOUR SOUL」でした。
前回に引き続きノーナ・リーヴスの
ファンキーなポップナンバーです。
後半のお話「100年前の抵当権を抹消するには3つの方法(抵当権者が個人ですでに亡くなっているまたは不明の場合)」
佐藤さんによると、抵当権者が個人ですでに亡くなっている場合、登記を抹消するには大きく分けて3つの方法があるそうです。
①抵当権者(お金を貸した側)の相続人を探して協力を得る
全員から書類に署名押印をいただく必要がありますが、何世代も時間が経っているので抵当権者の相続人が何十人にも及び、中には海外に移住したり認知症の方もいらっしゃるそうです。
②抵当権者(お金を貸した側)の相続人に対して裁判を起こす
通常は①と同様に相続人が多数いるためこちらもハードルが高いことに変わりはありません。佐藤さんが担当した事例では、抵当権者の相続人が旧民法の時代に家督を相続した一人の方だけだったため、その方のご協力が得られればよかったのですが、あいにくご了解をもらえず裁判を選択されたとのこと。
③供託の特例を使う
抵当権者(お金を貸した側)の所在も相続人もわからない場合の特例だそうです。抵当権者に連絡が取れないことをきちんと確認したうえで、登記に記載された金額と利息と損害金を合わせた金額を法務局に預け(供託)お金を返したとみなす方法です。といっても、100年前の額面のままなので(例えば10円など)それほど大きな金額にはならないことが多いそうです。
これらのお話を踏まえ、佐藤さんの結論は「費用も時間もかかって大変になるので、登記の手続きはお早めに」ということでした。確かに手続きを怠ると私たちの子孫が大変な思いをするということがよくわかりました。詳しくは放送音源でお聞きください。
お問い合わせ先
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(パーソナリティ 笹崎久美子)