【2025.12月】相続土地国庫帰属制度について(小栁有爾会員)

エフエムたいはく『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時から仙台市のコミュニティFM局で放送している30分のラジオトーク番組です。(78.9MHz)

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトークの一部(要約)と概要をご紹介しています。

2025年月12月25日㈭は、宮城県司法書士会 企画広報委員会の 小栁有爾(おやなぎ ゆうじ)さんに「相続土地国庫帰属制度」についてお話をしていただきました。

※これまでの「相続・登記」の過去記事はこちらをご覧ください。


 前半  不要な土地を相続した場合に国に有償で引き取ってもらえる制度です

ー 今日は少し難しそうなテーマですが、相続土地国庫帰属制度とはどういった制度なのですか?

小栁 こちらは、相続や相続人に対する遺贈によって取得した土地を手放して国庫に帰属させることができるという制度になります。

ー さのものになってしまうということなんですか

小栁 はい、要らない土地を相続して、その土地を処分売却することもできず、そのまま放置しておくわけにもいかないので国の方に引き取ってもらう(有料)という制度になります。

ただ、相続によって取得した土地が全て引き取ってもらえる(国に帰属させることができる)というわけではなく、引き取ってもらえる要件というのがあるんです。例えばその土地上に建物がある土地。

ー 家が建っていたらダメなんですか?

小栁 そうですね、国庫に帰属した後に国が管理するわけですけれども、建物があるとどうしても管理が難しくなりますので、建物がないというのがまず条件。

ー 他にもあるのですか?

小栁 あとは抵当権ですとか借地権ですとか、そういった何かしらの権利が設定されているような土地はできないです。

それから境界が明らかになっていないような土地。もう見た目でどこからどこまでがその相続人の土地であるというのが明確でないような場合だとちょっと受け入れてもらえませんね。

つまり諸々要件はあるんですけどその要件満たせば拾ってもらえるというか、もう本当にきれいな土地。きれいな土地っておかしい表現ですけど、まっさらな土地であることが条件って考えていただければわかりやすいかと思います。

ー いつから始まった制度なのですか?制度の利用者は?

令和5年の4月に制度が始まりました。ですので2年とちょっと経った感じですね。具体的な数字は把握していませんが、利用者はけっこういらっしゃいます。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:50前後からです。)

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半  「後世に厄介な問題を残したくない」という相談者様のことば

司法書士の小栁有爾さん(左:宮城県司法書士会)と番組パーソナリティの笹崎久美子

ー 前半にご紹介いただいた事例ですが、その方の土地はその後、国家に帰属されたのですか?

小栁 手続き進める上で負担金がいくらになるか、私の方で調べたところ200万円弱という金額になりました。

宅地の負担金は通常一筆20万円が原則なのですが、例外の規定のほうが当てはまる土地で、その場合は面積に応じた負担金になります。

その金額が簡単に出せる金額ではなかったのでいったんストップになり、そのまま最後の手続きには至りませんでした。

その方は週刊誌を読まれて、週刊誌の記事でそういう制度があることを知ってご相談に来た方でした。

ー そうでしたか。であれば、この制度ができた背景もお聞きしてよいですか?

小栁 はい(資料があるのでそちら読ませていただきますが)背景といたしましては、土地利用ニーズの低下などにより、土地を相続したものの土地を手放したいと考える者が増加している。

相続を契機として、土地を望まず取得した所有者の負担感が増しており管理の不全化を招いている。それで放置してしまうということですよね。

ー 売りたくても売れない土地というのは多いのでしょうか?

小栁 多いと思います。有名な話ですけれど、日本全国にある所有者不明の土地を全部合わせると九州全土に匹敵するというお話がありますよね。そういう状況を打破したい(のが制度の主旨だと思います)。

ご相談に来られた方曰く、その使い道のない売る当てもない土地(再建築付加物件)をそのまま持ってご自身がお亡くなりになったら、またその子の世代に使えない土地を相続してしまうことになるので、後世に厄介を残したくないそうです。

そういう考えの方にご利用いただける制度なのではないかと思います。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は12:12から。このお話の続きは16:30前後からです。 ):

 

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本日の小栁さんのリクエスト曲は『雪が降る町』

本日の小栁有爾さんのリクエスト曲は ユニコーン『雪が降る町』でした。

小栁さんのコメント 「20年ぐらい前の曲ですよね。おそらくたぶん、自分が高校生ぐらいのときよく聞いていたので季節柄、これから冬なので、冬と言えばこれからなのかな、と思いました。」


パーソナリティから 〜売りたくても売れない再建築付加物件だった土地~

「不要な土地」「売却処分できない土地」と聞いて私は、売り出し価格の半額まで値下げして1年後にようやく売れた義父母の九州の家(築50年)のことを思い出したのですが、「売却処分できない」というのは「売っても売れない」という意味ではないそうです。

小柳さんが紹介してくれた事例で、ご相談くださった方が相続したのは賃貸で貸し出している土地でした。別な方がその土地に家を建てて土地の賃料を払って住んでいたそうです。

やがてその借主が別の場所に住むことになりましたが、その土地は接道義務を満たしていないので更地にしても新しい家を建てることができません。そこで、家を建てられない土地であれば売却も非常に困難になるので、ご相談者は手放したいと思ったとのこと。

接道義務とは「幅員4m以上の道路に2m以上接していないといけない」という建築基準法の規定で、接していない土地には家を建てることができないと定められているものです。

私の親戚もかつては八軒小路(若林区)の密集地に住んでおり、車が入れる道に面していないので、自家用車で訪問しても玄関先までは狭い路地を何メートルも歩いていく必要がありました。

そんな土地はまだまだたくさんあるのではないかと思いますが、「売りたくても売れない」というのは厄介な問題だと思いました。

個人的に本題からは外れてしまいますが、その後YouTubeの「積読チャンネル」で接道義務がネックになって苦労した話を偶然視聴しました。このケースでは誰もが道路だと思い、住民も普通に通行している「道」が、実際は個人の土地だったたため「道路」とは認められず、接道義務を満たしていないとされたエピソードです。よろしければご覧ください。

*記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子(ワッツ・ビジョン


お問い合わせ先

※番組でご紹介した内容/イベントや会社設立・不動産登記・相続・遺言・成年後見などのご相談に関しては宮城県司法書士会ホームページ
022-263-6755までお気軽にお問い合わせください。

AIがまとめた本日の主な放送内容

※放送音源から自動的に作成された内容を掲載しております。詳細に関しましては実際の音源を試聴してご確認ください。

基本の解説

制度の目的
◦相続(または相続人への遺贈)で取得した不要な土地を手放し、国庫に帰属させる道を開くことで、管理不全や次世代への負担を軽減。
◦背景として土地利用ニーズの低下、相続を契機とした不要地の増加、放置地・所有者不明土地(全国合算で九州相当の規模とされる)の社会課題化がある。

運用状況
◦令和5年4月開始。令和7年時点で約2年経過。
◦具体的な件数は未把握ながら、申請は実際に行われているとの情報。

管理の位置づけ
◦負担金は国の管理コスト(安全・環境上のリスク低減、維持管理)に充当される性格。

受け入れ条件について

受入れが難しい代表例
◦土地上に建物が存する場合(管理困難)。
◦抵当権・借地権などの利用権・担保権等が設定されている場合(権利関係が複雑)。
◦境界が不明確な場合(範囲特定が困難)。

受入れの基本イメージ
◦更地であり、権利関係がクリア、かつ筆界・境界が明確な「まっさら」な状態が望ましい。

◦土地種別
宅地に限定されず、農用地・森林等も対象になり得る(ただし費用・条件は種別や区域で変動)。

費用について

  • 負担金(国庫帰属時に納付が必要)

宅地
原則:一筆20万円。
例外:都市計画法の市街化区域等に該当すると面積比例の高額算定になる場合あり。

農用地
原則:一筆20万円。
例外:一定の要件で面積比例算定に切替。

森林
原則からの例外扱いではなく、面積比例算定が基本。
単価は宅地より低めでも、面積が広ければ総額は大きくなり得る。

補足
無料制度ではないため、経済合理性(他処分との比較)を事前に試算・評価することが重要。

事例について

背景
相談者は親から土地を相続。相続時点では第三者に賃貸され、その上に建物が存在し地代収入あり。

状況変化
借主が転居し建物を解体、賃貸借も解約。更地化したが、当該地は周囲に囲まれ道路に接していない(建築基準法上の接道要件を満たさない)土地に。

制度検討と結果
売却を第一選択として検討したが、接道要件未充足で新築・建替え不可のため市場性が低い。
相続土地国庫帰属制度の利用を検討し、専門家に負担金の概算を依頼。

費用試算
当該地は宅地だが例外規定に該当し、面積比例算定で約200万円弱との概算。

判断
高額負担であったため、依頼者は手続を一旦停止。

学び・示唆・振り返り
建物解体前であれば「建物付土地」として売却余地が残った可能性がある(結果論)。
接道要件を満たさない土地は売買自体は可能でも、再建築不可により需要が極端に限定される。
制度認知は週刊誌等の一般メディア経由でも進みつつある。

リスクとハードル

経済面
面積比例の負担金が高額化し、制度利用の抑制要因になり得る。

適格性
建物・担保権・利用権・境界不明等で不適格となるケースが一定数見込まれる。

市場性
接道未充足地の売却代替が難しく、制度・売却いずれにもハードルが生じる。

不確実性
制度開始から約2年で運用実務がなお発展途上。国の管理内容の具体と運用の細部に不明瞭さが残る。

推奨されること

適用可否の事前整理
権利関係(抵当・賃借権等)の抹消可否を確認。
筆界・境界の明確化(必要に応じ測量・境界確認)。

費用見積と意思決定
土地種別・都市計画区分(例:市街化区域)を確認し、負担金を早期に概算。
制度利用と売却・賃貸・隣接地との調整(通路確保・地役権設定)等の代替案を比較検討。

接道要件への対応
公道・私道いずれも対象となり得るが、幅員4m以上・間口2m以上等の基準の充足可否を調査。

専門家の活用
申請書作成の代理は司法書士・弁護士・行政書士に限定。申請自体は本人手続が必要のため、役割分担を明確化。

情報収集

制度運用・負担金算定ルール・処理期間等の最新情報を定期的に確認。

今後への課題

  • 国庫帰属後の具体的管理内容(除草・危険木対応・野生動物対策等)の標準運用はどの程度まで想定されているか。
  • 採否基準・審査期間の目安、申請から帰属決定までの実務的なリードタイムの最新統計。
  • 土地種別・区域ごとの負担金の具体的な単価テーブルの最新更新状況。