【2023.07月】相続複雑案件について〜失踪宣告とは?〜(反田良平会員)

『あっ!司法書士に聞いてみよう!』は宮城県司法書士会が毎月第4木曜日の14時からエフエムたいはく(78.9MHz/仙台市)で放送している30分のラジオトーク番組です。

このブログでは番組で放送された音源を掲載し、前半と後半の出だしのトーク(一部)を要約してご紹介しています。

2023年月7月27日㈭は、宮城県司法書士会から会長の反田良平(そりだ りょうへい)さんをお迎えして『相続複雑案件』についてお話を伺いました。

※過去の相続に関するお話はこちらをご覧ください。

 前半のお話  相続人が全員揃う遺産分割協議ができないときもあります

ー 今日は司法書士会のご担当の方から「相続複雑案件」というテーマを伺っておりますが?

反田 ずいぶんだいそれた名前のテーマに決められてしまったようですが(笑)、実はこの少し前に宮城県司法書士会の会報に掲載する相続の座談会がありまして、そのときに相続の困難な案件についてご紹介させていただいたので、その流れで私の回にこういうテーマをいただいたのかな、と思います。

ー 複雑案件というと相続しにくいものという意味ですよね?

反田 はい、そうですね。複雑というのがどういうものか曖昧なのですが、日々やっている中で一番相続の難しいところがどこなのかといいますと、遺産分割協議というのを相続人の皆さんでしていただくことになるんですけれども、その遺産分割協議が相続人の皆さんが一人も欠けることなく合意しなければ成立しないというところが、どうしても一番難しいところなんですね。

ー 相続人全員ですか。5〜6人というイメージがあるのですが?

反田 そうですね。昔に相続が発生した案件ですとその頃はお子さんが多く家族も大人数ということもありますし、あるいは亡くなった方にお子さんがいらっしゃらないと、通常はご兄弟さんが相続人になりますが、ご兄弟さんがご存命でなければ甥っ子さん姪っ子さんが相続人になったりするので、そういう場合にけっこうな人数になってくるということがありますね。

ー それが長引いたりするんですね。

反田 最終的には裁判所の力を借りたり、というところはあるんですけれども、合意できるできないという話とは別に「一人も欠けることなく」となってくると、例えば相続人さんの中に認知症の方がいらっしゃるとか、病院で寝たきりになっていてそういう話し合いがそもそもできない方がいらっしゃいます。そうすると相続人さん全員でやるということが事実上不可能になってきたりします。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※続きは04:35前後からです。)

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。


リクエストコーナー


 後半のお話  今回のケースでは失踪宣告の申し立てをしました

ー 前半からの続きになりますが、不在者とみなして代理人を立てる場合と失踪宣告についてどちらを選択するか、の判断については?

反田 これは個別のケースバイケースによるのですが、不在者のほうも管理する財産の金額だったりとか、申し立てに要する費用などに違いが出て来るところもありますし、一方で失踪宣告というのは申し立てしたからといって必ず認められるものではありません。これは不在者もそうなのですが、失踪宣告のほうは「死亡したものみなす」制度ですから、裁判所の方も慎重な審議を行う形になりますので、何か(亡くなった)タイミング(火事、災害等)の確証がある程度あるときでなければ・・・やって空振りになっても怖いなと、という手続きではあると思うんですね。

ー たぶん認めていただけるだろう、という感覚の事案でなければ失踪宣告の申し立ては難しいのですね

反田 そうですね。なので不在者の代理人を立てるほうが多いとは思うんですね。なので私が扱った今回のケースはレアケースで、前半にお話をしたように、そのほうがご親族の皆さんもしっくりくるだろうという事情があって実際に手付きを行った、と。

失踪宣告が難しいのは亡くなったとみなされる日付。その日が相続開始の日付となるわけですが、それがこちらでコントロールできないんですね。

ー この日と思われる、という申し立ては通らないのですか?

反田 そうですね。ただ、例えば先ほど(前半)にお伝えしたように何かできごとがあって、火事であったり津波であったり、そのあとから連絡が取れないというものでしたら、その直後ぐらいに亡くなったのだろうという認定になると思いますけど、(そうでない場合は)行方不明になって7年間。そもそも行方不明になった最初の日にちはどこなんだ?とかですね。(以降のお話は再生プレイヤーでお聴きください ※後半は14:30から。このお話の続きは17:45前後からです。 )

※音源はAppleSpotifyAmazon等の各Podcastでも配信しています。 w62_Spotify-Podcast w62_Amazon-Podcast
※番組の概要や最新の放送につきましてはトップページをご覧ください。

本日の 反田良平 さんのリクエスト曲

本日の反田了平 さんのリクエスト曲は MONKEY MAJIK(モンキーマジック) 『空はまるで』でした。

反田良平さんのコメント 「特にエピソードはないのですが、仙台在住なので好きです。応援してます。」

番組を終えてパーソナリティからひとこと

今回伺った事例は、相続人のお1人に対して誰も連絡が取れず、風のうわさで、その方がある時点で亡くなったのだろうと、ご親族にも思われているというケースでした。そのため反田さんは失踪宣告の申し立てをして手続きを行いましたが、その方が死亡したとみなされる日付が反田さんが担当されている相続が発生した日付よりも前に定められたため、その方は相続関係から外れたそうです。相続人が失踪宣告をされると失踪宣告をされた方に対しても新たに相続が発生するということに考えが及ばず、途中で少し混乱してしまいましたが、反田さんのわかりやすいお話で納得できました。反田さん、ありがとうございます。

(記事作成 番組パーソナリティ/笹崎久美子)

お問い合わせ先

※番組でご紹介した内容/イベントや身近な暮らしの法律のご相談に関しては宮城県司法書士会ホームページ
022-263-6755までお気軽にお問い合わせください。